ささやかではありますが
フリーズしたままの私と諒の間に、諒がさっきから流し続けてる洋楽が小さく響いてる。






ほんの10分前まで、何の問題もなく、私と諒は仲良く諒の家で飲んでた。
尤も、今になって思い返してみたら、何の問題もないのは私だけだった。
私は諒に告白されていた。
それがついぞ1週間前のこと。
あんまりに諒が真剣で、諒と“友達”の期間があまりに長すぎた私はそれを受け止めてあげられなくて、「うん、私も諒が好きだよー。友達としては!」なんて、残酷な冗談を笑って言ってしまったんだ。
諒は私なんかより大人で、真剣な顔をすぐに崩して、「そっか、俺フラれたわー」って笑い飛ばした。



私は最低だった。
それで「はい、おしまーい」ってなったって勝手に思い込んでて、今までみたいに諒にべたべたと接触してた。
諒が気にしてないはず、ないのに。
今日だってそう。
「諒んちで飲みたい!」って我が儘言ったのは私で、諒は「じゃあ酒は優理(ゆうり)が買えよー」って言って笑って私を家に入れてくれたけれど、私はそれで調子に乗って、過剰に諒に触れてしまって。
手を繋いでみたりだとか、諒の肩にもたれてみたりだとか。
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