桜の木の前で

said刹那

わしは瑠璃のもとへ行くべく狐の世界に来ていた。

「刹那様!」

雷がそばへ駆け寄ってくる。

「雷か。頼みがある。仙樹と長老を呼んできてくぬか?」

「分かりました。」

雷はわしの切羽詰まった様子から何か察したようですぐに呼びに言った。

そして数分後2人を連れて現れた。

「どうしましたの刹那様?」

不思議そうな仙樹と長老。

そんな三人に今までの事情を話す。

「瑠璃さんがそんなことになっておるのか・・・。」

神妙な面持ちで長老が呟く。

「彼女は普通の人間の女の子より険しい道をこれからも歩むであろう。それは桜乙女故の運命じゃ。そしてその不思議な力はアヤカシをも魅了する。」

「私たちはなにをすればいいんですの?」

「わしは瑠璃を助けに鬼の住む異界へいきたいんじゃが結界を破れね。前に仙樹が連れてきた人間が結界を破れぬだろうか?」

「・・・無理ですわ。」

仙樹は少しくらい顔で呟く。
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