桜の木の前で
「私、最後まで悪役?」

凛は拗ねた口調で文句を言う。

「いいや、君の優しさはみんなわかっているよ。」

「ほんとうにぃ?」

まだ半分不貞腐れているため半信半疑の凛。

「ああ。俺があちらの世界に行ったら、ちゃんと伝えておく。」

「ふふっいいわ。無月のいうこと信じてあげる。あなたの代償も長かったわね。」

「ああ。それでも、いとしい人のためなら、な。」

「桔梗様ね。」

「ああ。」

本当にいとおしそうな顔で無月はほほ笑む。
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