桜の木の前で
「なかなかよい舞であったぞ。」
控え室で休んでいる瑠璃に歩み寄る。
「あ、刹那。」
嬉しそうに微笑む瑠璃。
いつからじゃろう?
瑠璃の屈託ない微笑をみることができるようになったのは。
「おぬし途中で様子がおかしかったがどうしたのじゃ?」
疑問に思っていたことを聞く。
「あのね、急に声が聞こえたと思ったら桜が1枚降って来たの。」
「声?」
「ええ。見つけたって。」
「見つけた?」
見つけた・・・・なにをじゃ?
「うん。だけど聞き違いかも・・・。あ、それより桜ありがとうね」
「気にする出ない。あれくらいたやすいものだ。」
「おかげで無事最後まで舞い通せたよ。」
「舞は神に捧げるものだ。あのような舞を捧げられたわしは幸せ者じゃな。」
心からそう思う。
瑠璃は嬉しそうに微笑んだ。
しかし見つけたか・・・・
かすかに舞台に霊力がのこっていた。
少し警戒しなければならぬかもしれぬな。
わしはそんな事を考えながら少し不安そうな瑠璃を眺めていた。