桜の木の前で
「ここは何処?」

私はさっきから屋敷をぐるぐると廻っている。

おかしい。この屋敷玄関が無い。
さっきからぐるぐると廻っているのに・・・。

私は次の襖を開けると其処には弓と矢が飾ってあった。

「一応持っていこう・・・。」

私は飾ってあった弓と矢を借りた。

「何をしているんだい?」

泉里がゆっくりとこちらに近づいて来た。

「来ないで!」

私は自分の周りに結界を張る。

「分かっているかい?ここは鬼の世界だよ?ここでは俺に適うものはいないんだよ?」

分かっている。
だけど自分の身を守れるのは自分しかいない。

私は弓と矢を強く握る。

「なんならその弓で俺を射るかい?」

泉里は優しく微笑む。

私の射る矢は魔を滅する力と封印する力がある。

だから滅するのではなく封印すれば・・・・

私はそう考えて弓に矢を番えて泉里に向ける。

その瞬間

“お願いやめて・・・”

泉里の目の前に女性が立っていた。
私は矢を放つ間際狙いを反らした。

しかしそれは泉里を掠めて腕から血が出ている。
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