桜の木の前で
私はそっと近づく。

そして傷ついた頬に触れて傷を癒す。

「ああ、瑠璃には癒しの力があるんだね。」

そういって優しく泉里微笑む。

「ええ。でもあなたの傷ついた心はこの力では癒せないわ。」

「え?」

驚いた表情で泉里はこちらを見つめてくる。

「あなたはとても傷ついているのね。」

私がそういうと泉里はなにも言わずにこちらを見つめ返す。

「私は真珠さんの生まれ変わりではないわ。」

「いいや。違う。君は・・・」

「見た目が似ている?性格が同じ?だから私は真珠さんだというの?」

泉里の言葉を遮り叫ぶ。

「え・・・」

「私は私よ！他の誰でもないわ！私は瑠璃。真珠さんでは無いわ。あなたが愛した人は誰?その人の代わりなんて要るわけ無いでしょ?」

泉里は黙っている。

「誰かを代わりにするなんて虚しいわ！あなたの過去に何が有ったのかは私は知らないわ。だけどこんな風に私を真珠さんの代わりにするなんて違うってわかっているんでしょ?」

「いいや。君は真珠の生まれ変わりだ。」

苦しそうに泉里は呟く。
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