桜の木の前で

saido刹那

辺りが煩いほどざわついている。

これだから1月1日は嫌いじゃ。

わしはそんな事を考えながら瑠璃の元へ向かう。


「すいませーん!お守りと破魔矢下さい!」

「はい!」

瑠璃は愛想よく接客をしている。
しかしその表情には疲れが少し滲み出ている。

「あやつは本当によく無茶をしおるのう。」

思わず呟いてしまう。
瑠璃は自分の霊力を込めて破魔矢を客に渡していた。

「連れ出すか。」

呟くとわしは瑠璃の元へと歩み寄る。



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