桜の木の前で
目を開けた瞬間桜の木の前に居た。

「この桜・・・。」

私の神社にある桜に似ている。

そんなことを思っていると話し声が聴こえた。
私は幹に身を潜める。

「泉里様!お逃げください!」

そこには血相を変えた真珠さんがいた。

しかし彼女は生きていた。

「何故だい?」

「このままでは死んでしまいます!」

「ああ、兄上が俺を討伐しようとしているからかい?」

「そうです!だからお逃げ下さい!」

「何故?」

「だから、今の泉様ではお力が足りません!」

「ああ、この前3つの一族を一人で潰したからね。」

「そうです!巍然様はこの機会を伺っていたようで・・・。」

真珠さんはまぶたを伏せる。

そこにはうっすらと涙が浮かぶ。
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