【短編】 夢恋ビーナス
玄関を出ようとした時、何かを蹴っ飛ばしてしまった。


(何だ?)


足元を見る。


(そうだ!今日は、ゴミの日だった。)


昨夜のうちに、忘れないように玄関に置いていたのだ。


それを提げて、下宿の階段を駆け下りる。


向いの電信柱がゴミ置き場だ。


すでに、山積み状態。


そこの頂上めがけて放り投げる。


グシャ。


いくつか崩れ落ちる。


辺りを見回す。


誰もいない。


(まっ、いいか。)


そのままにして、走り去ろうとする。


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