シフォンケーキ
2 黄身と砂糖を混ぜ合わせます
綾人が俺の前の自席に辿り着いたのは、ホームルームが始まる直前。
綾人の「シフォンケーキ食べたい」宣言は未だに効果を発揮し、今朝もまた見知らぬ女子に呼び止められてはケーキの包みを渡されていた。
俺に向かって食べ飽きたと豪語する綾人は、何食わぬ微笑で「ありがとう。嬉しいよ」と愛想よくそれを受け取っている。
「この八方美人めが。」
「妬かない妬かない。アズのが一番美味しいよ。」
全っっ然、嬉しかねぇ!
寧ろ、女子をたらしこむような愛嬌たっぷりの甘い笑顔が気色悪い。
鳥肌の立った腕を擦っていると、不意にどこからか視線を感じた。
いや、綾人と一緒にいるとそんなことは日常茶飯事なのだけど。
視線を巡らせると、教室の対向線上にいる安藤と目があった。
安藤は視線が合うや否や、慌てて顔を逸らした。
・・・・あ~・・・
アイツのことも何とかしなきゃなぁ・・・
ホームルームの間、安藤に言うべき言葉を考え、しかし思いつかず悩む。
このままお互い上げたことも貰ったことも忘れてなし崩しにしてくれるのが一番、楽なのだが。
しかし、神はよほど娯楽に飢えていたらしい。
綾人の「シフォンケーキ食べたい」宣言は未だに効果を発揮し、今朝もまた見知らぬ女子に呼び止められてはケーキの包みを渡されていた。
俺に向かって食べ飽きたと豪語する綾人は、何食わぬ微笑で「ありがとう。嬉しいよ」と愛想よくそれを受け取っている。
「この八方美人めが。」
「妬かない妬かない。アズのが一番美味しいよ。」
全っっ然、嬉しかねぇ!
寧ろ、女子をたらしこむような愛嬌たっぷりの甘い笑顔が気色悪い。
鳥肌の立った腕を擦っていると、不意にどこからか視線を感じた。
いや、綾人と一緒にいるとそんなことは日常茶飯事なのだけど。
視線を巡らせると、教室の対向線上にいる安藤と目があった。
安藤は視線が合うや否や、慌てて顔を逸らした。
・・・・あ~・・・
アイツのことも何とかしなきゃなぁ・・・
ホームルームの間、安藤に言うべき言葉を考え、しかし思いつかず悩む。
このままお互い上げたことも貰ったことも忘れてなし崩しにしてくれるのが一番、楽なのだが。
しかし、神はよほど娯楽に飢えていたらしい。