シフォンケーキ


「そんじゃあまず、中身のカスタードを作るか。」


キッチンの随所から材料を召集していく。

砂糖にあることを思い出し、真剣な顔で秤とにらめっこしている安藤に尋ねる。


「そーいえば安藤さ、この間どんな砂糖使った?」


こんなんだったか?と手に持っていたグラニュー糖の袋を見せると、安藤は小さく首を傾げた。


「ええっと・・・もう少し粒子が粗かったかな。」


母親がクッキング好きで、色々な種類の砂糖が瓶に入って並んでいるのだという。

かえるの子はかえる。という格言は適用しないのか。

母親が無類のクッキング好きだからこそ、娘は手伝わせてももらえないらしい。



「色々な種類の香辛料の類もその並びにあったりするんだろ。」

「えっ、梓クンよく分かるね。」

「あ~・・・オマエの使った砂糖とやらは多分、化学調味料だ。」

「え?・・・・・えぇーっ!」



始める前から大打撃。

安藤は泣きそうな顔で謝る。




「梓クン、本当にゴメンね。ゴメンね。」


うん。
素人は無理せずショートカットのケーキを贈ろう。
味見は必須だ。
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