シフォンケーキ
アイツ、ウマクやってるかな。
家に残してきた安藤を思い出す。
せっかく好きなヤツと二人っきりになれたわけだし。
嬉しくて舞い上がってるだろうな。
・・・・舞い上がりすぎて可笑しな行動を取ってそうな気もするが。
どんな話をするんだろうか。
どんな顔を綾人に見せているんだろうか。
俺に見せることのない、
綾人にしか見せない安藤を思い浮かべて不愉快になった。
つか、綾人。
オマエが知ってる頭がよくて、真面目で、目の前で照れたように笑っている安藤は、安藤の一部だから。
俺の前にいる安藤は時々挙動が可笑しくて、
表情が豊かで、
時々トンでもない失態を冒して、
スイーツ兵器なんかを作る壊滅的な料理オンチで、
なんでも出来る女の子なんかじゃ決してない。
だからってそれを知ってキライになるとかそういうんじゃなくて・・・
ああ!くそっ!
自分で自分の思考を持て余しイラつく。
気がつくと殆ど駆け足のような状態で家に飛び込んでいた。