シフォンケーキ
5 全部混ぜてください。

安藤が肉じゃがを作るのを監視する傍ら、俺は魚の煮付けと味噌汁と漬物を用意した。

野菜の皮はピューラーで剥いてしまえばいいから、一先ず安全。

肉じゃがは煮崩れを考慮して大きめに切るので、これもなんとか。


とはいえ、初心者の安藤の手さばきに俺の心臓は何度か危うく止まりかけ、反射的に罵声を浴びせたことか。

味付けは俺が見たので間違いはない。


・・・果たしてこんな調子で安藤の手料理と言い切っていいものか甚だ疑問だが。






夕食を食べ終えて、アタリマエのように片付けをしない綾人が部屋に行き、俺と安藤は夕食の片付けを始めた。

安藤には「客なんだからやらんでいい」と俺は断わったのだが、


「一流の料理人は後片付けまでやってこそだよねぇ」

と、綾人の一見正論のような理論に丸め込まれた。



ほう・・・


そんな自論をお持ちだから一度たりとも片付けを手伝ったことがないのかな、綾人君。

というか、料理も手伝って、片付けも手伝えって話だ!
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