シフォンケーキ
6 型に入れてオーブンへ
俺が複雑怪奇な気持ちを持て余していようが、一日は規則正しく過ぎていく。
昨日、綾人が『メロンパン』発言をしたせいで、今日も朝から貢物が集まっていた。
オマエ、そんなに貰ってどーする気だ?
生憎だが、俺はメロンパンがあまり好きではないから、処理要員には絶対加わらないからな。
放課後になって「持って帰るの手伝って」と命令されないうちにさっさと教室を抜け出ると、下駄箱で背後から呼び止められた。
「ま、待って!梓、くんっ!」
振り返ると、俺を走って追いかけてきたのだろう安藤がハアハアと肩で息を吐いていた。
「あ、あのっ・・・・・これ、約束の。」
差し出したのはケーキ用のボックス。
直ぐにでも食べてもらうつもりだったのか、ラッピングはしていない。
ってか、またホールかよ。
安藤、反省がまるで生きてないな。