シフォンケーキ
俺は安藤とシフォンケーキを交互に見詰めながら、コレまでの経緯を思い返してみた。


・・・・初っ端から、疑問にぶち当たるんだが。



「・・・安藤さぁ、初めのシフォンケーキだけど・・・俺と綾人の鞄間違えたか?」

「え?・・・・・ええええっ!わたっ、私、入れ間違えてたのっ?梓クンの鞄だってちゃんと確かめたつもりだったのに。」




俺の鞄?

綾人と間違えたんじゃなく?



猟奇的なワタワタ人形になった安藤は俺の驚愕には気付かない。

既に涙目で、頭から蒸気が立ち上るんじゃないかというくらいに真っ赤になっている。




悪い安藤。
勘違いしたのは俺であってオマエじゃないから、それほど壊れるな。




だけど、普段と違う壊れた安藤はちょっと可愛い。




「で、この間アイツに何言われたんだ?帰り際。」




綾人の戯言に大業に赤い顔して、縋るように見詰めて。


って、
俺は何だって安藤に対してこんなに心が狭いかな。




安藤はうっと呻いたっきりさらに赤い顔で俯いた。

それでも俺が追求を撤回しないことを悟って、渋々というように呟いた。




「たたたただの、綾人クンの冗談・・・」

「冗談?」

「おおおおおしっ、押し倒してもいいって、梓クンを。僕が許可するなんて・・・・」

「・・・・」




あんの野郎―っ。

何ヒトの貞操を勝手に売り払ってやがるんだよ!
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