シフォンケーキ

「冗談だから!ホントに!私も真に受けたわけじゃないし!全然っ絶対っ!」


はいはい。
真に受けたってオマエが出来るなんて思ってないから。






テンパッていた安藤がようやく落ち着いて、俺と安藤は同時に言っていた。



「梓クン。私が綾人クンを好きだって勘違いしてたの?」

「安藤が好きなのって綾人じゃなくて本当は俺なんだ?」





赤い顔の安藤が小さく頷く。



チン!

と小気味よい音がしてオーブンの中のシフォンケーキが柔らかく一杯に膨らんだ気分。




気がついたら、掠めるように安藤の唇を奪っていた。




「あ、あ、あ、あ、アズッ、梓クンッ!」


裏返りすぎだ、安藤。


俺は観測至上、最も激しい壊れっぷりを見せる安藤にくっと噴出す。




「最後にしなくていいから。俺の夢は、彼女の美味しい手料理を食べること、だし?美味くなるまで俺が責任もって食べてやるよ。」








目を丸くした安藤は、やがて赤い顔で「うん」と小さく強く頷いた。











■end■

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