シフォンケーキ
ムカついた俺は、勢いでケーキのラッピングを解いた。
中に入っていたのはシフォンケーキ。
残念だけど、綾人がこれを食べて、本気で嬉しいとか美味しいとか言うことはないんだ。
綾人はフェミニストだから好意に対して、柔らかな微笑でありがとうとか、おししいよというけれど、それは口先だけ。
そんなのは挨拶程度の社交辞令だ。
嘲弄気味の酷く残忍な気分で無造作にケーキを千切って、口に入れた。
だけど安藤は綾人が美味しそうにコレを頬張る姿を想像しながら、いそいそとコレを作ったんだろうな。
例え綾人が本気で美味しいといわないまでも、ヤツに食べてもらうために。
やっぱ俺が食べるのは間違ってるよな―――――――
「ぅ・・・・・・ぐえぇぇぇ!」
ぼんやりと思考に走っていた俺は舌に感じた味に思いっきり餌付いた。