シフォンケーキ

「なななな」



なんだこりゃ!

人間の食い物じゃねぇ!

塩と砂糖を間違えちゃった、てへっ、・・・


とかいうレベルの可愛い間違いじゃないぞ、コレ!




俺は涙の浮いた目で、恐々スイーツ兵器を観察してみた。



よく見ると、フンワリ膨らんでいるハズのスポンジは通常の半分くらいにしっとり沈んでいるし。

ところどころ混ざりきらなかった小麦粉が水玉に残っているし。



「な、なんだろ。塩・・・じゃなくて、科学調味料か?」


なんか微妙にミネラルなカンジ。

ついでに言うと、殻入ってるぞ。
卵の。

どんだけカルシューム不足だよ。




あ、安藤・・・・・綾人を毒殺しようとしたわけじゃ、ないよな?






その時、玄関が開く音がして「ただいま~」という綾人の声が聞こえてきた。




慌てて俺は残っていたケーキを口の中に押し込んだ。

ホールといえども六センチ型なので量は多少無理すれば何とか。


でも・・・






「っ――――っ―――っ―――!」





この味は許容を超えるぞ。

一体なんの罰ゲームだって!
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