目のクマのその下
ただ・・・あたしだってただ黙って大人しくしてたワケじゃない。
反抗なんて当たり前だった。
家出だって何度もした。

でも・・・その後襲ってくるのは、深い絶望と出口の見えない孤独。

結局、それに耐え切れなくなって帰って来てしまうのだから情けない。

そのあと待っているのは、自分がどれだけ無力かを思い知らされる処遇だけなのに。

だからって、努力すればこんなところに居なくてもよくなるのだ。
それをしないのは自分。
だって体をコイツに捧げれば、雨風をしのげる屋根と暖かくもない布団と飯三食が無条件で付いてくる。家出をして苦労をするよりは、それの方が断然楽だ。
あたしは、自分の体が自分のものじゃなくなるのと引き換えに楽な生活の方を選んだ。



今だって、逃げたいと思ってるのに、こんな生活は無理だと思ってるのに、行動を起こさないあたししか居ないのは楽な生活の方がいいと妥協している自分がいるから。

結局、あたしはこうやってこの生活から抜け出せないのだ。

この卑劣な男とは早急に縁を切りたいところだが、今どき家出中学生を居候させてくれる他人なんているのだろうか。
―――そうやって言い訳をして。
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