たったひとつ
視線の先
桜がたくさん咲いているこの道を
歩くのはまだほんの数回。
でも今日からは違うんだ。
明日も明後日もこれからずっと、
ずっとずっとこの道を通れる。
「萌乃香歩くの早い」
新垣 萌乃香(ニイガキホノカ)
そう、私は今日から高校生。
友達が出来るかどうか不安だし
先輩方と上手くやっていけるかも
不安だし・・・だけどワクワクして
早く学校に行きたいって思ったんだ。
「あ、ごめんお母さん」
謝るとお母さんは笑ってた。
「どうしたの?」
不思議でつい訪ねると
「良かったね」
笑顔でそう言った。
私はお母さんの方を向いて
「うん」
と、笑顔で返した。