たったひとつ
入学してから一週間が過ぎたころ
私はクラスにも馴染んできた。
友達も増えて毎日がとても楽しい。
授業中、窓の外には大きな緑色の木が
立っていて太陽の光を浴びながら
風に葉を揺らしていた。
揺れる度に眩しいその葉を
幸せな気持ちで眺めるのが私の楽しみ。
6月には体育祭がありクラスの絆は
より一層深まった気がする。
私はその日同じクラスの男の子に
告白された。
入学式の日に見た先輩のことを、
心のどこかで想いながらも
私はその男の子と付き合う事にした。
「湧哉帰ろう?」
彼の名前は橋本湧哉(ハシモトユウヤ)
体育祭の日に付き合い始め、
もうすぐ一ヶ月がたつ。
「ごめん萌乃香、今日部活の
ミーティングが入った!」
湧哉はサッカー部。
一緒に帰れるのは部活のない月曜日
つまり今日だけ。
「わかった、待ってるね」
湧哉は申し訳なさそうに顔の前で手を
合わせて一言ごめん、と言って
走っていった。
「メールしとこう・・・」
【教室にいるね^^】
一言送信して私は誰もいない教室へと
向かった。