【短編】らぶれたー
便箋を握りつぶす。


もったいなくて使わない便箋なのに、
ためらいもなく
潰すことができた。




シャーペンを
机の上に投げる。


コートを羽織って
家を飛び出す。






道の途中で
笠岡くんにケータイで
電話をかけた。


待ち合わせ場所と
時間を設定して、伝える。






笠岡くんは優しい声で

「わかった。いいよ」

って答えてくれた。




その声で体が火照って、
溶けてしまいそうになる。






やっぱり家を出てきてよかった。

伝えようとして、
本当によかった。





たった、これだけなのに。
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