【短編】らぶれたー
「笠岡くんのこと、好きだから…
付き合ってください」





目を合わせることが出来ない。


寒さのせいだろうか?
それとも恥ずかしさのせいだろうか?

頬がピンク色になる。





言ったんだ、と思うと
心拍数が早まった。






少しの沈黙。


風が冷たく感じる。

少しだけ、
笠岡くんが冷たい人に感じる。







この空間が、

幸せなような
冷たいような
苦しいような
甘酸っぱいような

なんとも言えない気分を作る。












…笠岡くんが口を開いた。
「ありがとう。
オレも、好きだったんだ。
付き合おう」





優しいその言葉。


直接言わなければ
絶対に聞くことができなかった、
この言葉。




文字で返事を聞くより
言葉で聞くほうが幸せだ。






勇気を出して伝えてよかった。





便箋を潰したことも、
まったく損じゃないよ。







笠岡くんの顔も
火照っているように見えた。



それは、
寒さのせいか
恥ずかしさのせいか
それはわからないけど。
笠岡くんが近づいてきて
私の手のひらと
自分の手のひらを絡める。



彼の温かさが
私の手のひらを伝って、
体全体に伝わる。






その温かさは
幸せの温度、そのものだった。











私の初めてのラブレター。


文字でカッコつけるより
素直な気持ちを言葉で
伝えるほうがいいんじゃない?





カッコ悪い、
私のらぶ・れたーは
しっかり君の胸に届いたかな。





【了】
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