占い師の恋【完】
何故か衝撃の事実を知らされた私は、今日も元気にバイトです。
カツカツとヒールの音を響かせて、お目当ての人物へと近づくと
「す、杉山さん…っ!」
こういう大事な場面で噛んじゃうとか、情けない。
「ああ茉希ちゃんか。おはよー。」
出だしから凹む私へと顔を向けて、へらりと笑った杉山さんはいつも通りに挨拶をしてきた。
そりゃあもう…
ホント、いつも通りに…
「店長の所行った?」
「…まだです、けど。」
「俺も~。じゃあ一緒に行こ。」
そう言って歩き出した杉山さんの後を急いで追いかける。
最近よく聴くJポップの歌を口ずさむ杉山さんの横顔を見つめていると、急にその視線が私へと向けられた。
「何?」
「いえ…、何でもないです。」
「あ、そう?」
言葉や態度はほんわかしている。和ませキャラみたいな感じだ。
…………………でも。
「あの…、」
「本当だよ。」
「(まだ何も言ってないんだけど。)」