占い師の恋【完】
棗ちゃんと風見さんが部屋を出て数分。
私は椅子に座ったまま視線だけをドアに投げていた。
ただただ、見つめるだけ。
自分でも無意識って言うのかは分からないけど。゙あいづが来るのを待っているとは気づきたくない。
早く、あの扉が開いて
《茉希》って甘く響くあの声が聞きたい…って。
私は馬鹿か!!いきなり人のファーストキスを奪って、朝早くから勝手に家に押しかけてくるような奴………、あれ?
顔を真っ赤にしてちょっと脳内暴走していた私は、一つの疑問に動きを止めた。
(なんであいつ私の家知ってんの…?)
連れて来たことなんかあるわけがないし、第一あまり人にアパートの場所を教えてない。
知っているとしても親戚と店長位だろう。
じゃあ、何でだ。何で青は私のアパートに来れた。何で私の部屋に来れた。
急に背中に悪寒が走る。
冷や汗がハンパない。分からない……、青が誰なのかもどうして私の家を知っているのかも、何もかも。
その瞬間、ガチャリと音がして部屋のドアがゆっくりと開いた。