占い師の恋【完】
誰だ、そう思った私の耳に響くのは
ずっと待ってたあの声…、ではなく。
「茉希ちゃん、店長がご飯食べに行こうって。早く片付けて行こうよ。」
お兄様だと発覚した杉山さん。あ、サングラス取ってる。相変わらず可愛い目だよなあ。
にこにこ笑って上機嫌の杉山さんに、ちょっとガッカリしたのは秘密だけど。
「私お金ないです。」
アルバイト大学生にはお金なんてない。少しムスッとふてくされたように言う私に杉山さんは一瞬きょとんとして。
「店長のおごりだよ。」
くすりと笑って私を手招く。奢りなら是非行かせてもらおう。
私は席を立つと杉山さんに続いて部屋を後にした。
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杉山さんと同じバイトの先輩数名と正社員と店長と私と同期の子数名で、結構の大人数だ。
店長お金足りるのかなー、何て一瞬は思ったけど大して気にしないことにした。
とりあえず、奢られとけと。
ちなみに。今回こんなにあっさり奢られると言うことを了承したのは、前の店長への仕返し。
休暇事件のことだけど。簡単には許す気はしないから、腹一杯食べて飲んでやる!
腹黒いことを考えていた私に気づいたのか。杉山さんが顔を覗き込んでくる。