占い師の恋【完】
「ぎゃははははっ!!はっはは、ひ、百面相っ…!!!」
「な、百、…!」
お腹を抱えて目には涙を溜めて笑い転げる。この男に爆笑されたのは二回目なわけで、今拳を振り上げているわけで。
そのまま振り下ろした拳で笑い続けるボケの頭を思いっきり殴りつけた。
「悪い悪い」とか言いながらまだ肩を震わせてにやけ顔のこの男を殺めてしまっても誰も何も言わないだろう。
「はあ…、で?」
「…言わ、」
「ない、は無しだかんな。」
「……。」
無理にでも言わせたいらしい風見さんは、私に拒む権利はないと言わんばかりに言葉を遮り、二本目の煙草に火をつけた。
言わなきゃ店内に戻ることも帰ることも出来なさそうだし…。でも逢って間もない人にこんな話をするのは可笑しい話なワケで。
だけど風見さんは私のそんな心をよんだように再び後頭部に手を添えて私を引き寄せ
「お前が背負ってるもん、聞いてやる。人に話せばちょっとはマシになんだろ。
それに…、茉希が中途半端じゃねえなら。俺だってお前を中途半端に知ってちゃいけねえだろうが。」
どきりと、胸が跳ねた。
――この人も、か。
よく分からない。まったくよめない男だ。
青、あんたも
まったくよめないよ。