占い師の恋【完】
店長の部屋を後にした私は、従業員たちの控え室に向かった。
「あれ、おはよう茉希ちゃん。」
「おはようございます。」
控え室のドアを開けると、パイプ椅子に座り振り返る杉山さんがいた。
杉山さんとは20代後半の男性でここの先輩。いつも何故かサングラスをかけているけど、取ったら可愛らしい目をした人だ。
「今日はお休みじゃなかったっけ?」
「のはずだったんですけどね。」
杉山さんは、「何かあったの?」と言い首を傾げていたけど小さく溜息を吐いてその問い掛けには答えを返さなかった。
「あ。俺そろそろ出なきゃ、…じゃあ茉希ちゃんも頑張ってね。」
杉山さんはひらひらと指先を揺らして見せながら、控え室から出て行った。
あんな人でも仕事はできる(失礼。)