占い師の恋【完】
「はは…、やっぱ馬鹿。」
「ちょ、馬鹿馬鹿言い過ぎてませんか。」
「だって馬鹿だからよう。」
喉の奥でクックと笑った風見さんに、怪訝な顔を隠すこともせず見上げると、優しい目をした男が一人。
頭に乗った手はゆっくりと上から下へ小さく移動を繰り返した。
「親と子が傷つけ合うのは当たり前だ。お前がみえたものは、確かに悲しいもんかもしれねぇけど…、それを何でお前が背負う必要がある。お前は何に怯えてんだ。
茉希の才能知ってて、お前のお袋は占いさせたんじゃねぇの?」
「…、でも、お母さん悲しそうに笑って…た。」
「死期が迫ってんの聞いて悲しくない奴なんかいるわけねーだろ。当たり前の反応だ。」
実にポジティブ思考の持ち主だとある意味尊敬の意を込めて風見さんを見ればふふん、と笑ってきやがった。
「兎に角、だ。茉希の背負ってるもんは背負う必要がねぇもんって訳だ。」
「そんな簡単に…。」
「いいんだよ。簡単で。」
「でも……、」
「イイっつってんだろうが。泣かすぞ。」
直ぐには言うことを聞かない私を風見さんは脅しの言葉と共に本格的に睨みをきかす。
怖い…、冗談抜きで怖い。殺人鬼…?