占い師の恋【完】
そりゃあもう自然な流れで。
そこまで話し終わると少し笑って「あれ、青?」って笑顔で話しかけてきたんだ、と。
吃驚して睨んだよ、と。
「俺、兄貴嫌いなんだ。俺に何もかも背負わせて、一人家出てった兄貴が嫌い。」
「兄貴は好きなことできてんのに、俺は親父のシナリオ通りに動かなきゃいけないなんて馬鹿げてる。」
「俺は、人生好きに生きたいよ。」
休むことなく、私が相槌を打つこともできないくらい悲しそうに。
話した青の笑顔は酷く重々しい。
「俺が逃げてるのは、家。」
「…、」
「まあ、逃げてても逃げなくても悪くはならないなら俺は逃げるよ。
手に入れたいものもない。」
それも、私が占って言った言葉だった。
゙このままでも悪くはないが、良くもない。
貴方が望むものは手に入らない。゙
今考えれば何て軽はずみ。何が悪くもないが良くもないだよ。
ホント、いい加減。
「…、いい訳ないじゃない。」
急に声を潜めた私に、青の戸惑いがかかった声がかかる。
「茉希…?」
「占いだよ。あんたは、占いに人生全部左右されんの?ふざけんな。
私は人の人生を後悔させるために占い師やってるんじゃない!」
「……。」