占い師の恋【完】
私が突然声を荒げたから青の目は吃驚したように見開かれて。
その表情はすぐに戻ることはない。
「あんたは逃げてるだけじゃない。自分が嫌なことは全部親のせい、兄のせい。
結局あんたは全部から逃げてる。中途半端に。」
「……。」
「望むものはないから、占いに全てをかけるの?あんたは何を信じてるの?
私の人生をあんたの中途半端で乱さないで。」
「……。」
「私は、自分で自分の道を見ない奴は嫌い。
他人に任せて生きる人生も、それを受け入れられないのに受け入れたフリして生きる奴はもっと嫌い。」
睨むように告げた今も、青の驚くような顔は変わらない。
生温い風が私達2人の髪を揺らす。じんわり服に染みる汗が肌と服を張り合わすようで気持ちが悪い。
早く家に帰って、お風呂に入りたい。
ヒトリになりたい。
もう一度見た青の顔は、苦痛に似た戸惑いを浮かべていて。
もう私を瞳には映していない。俯いていた。
「…、帰る。」
そう静かな空間に呟いた声は虚しく響き、その声に返答は返ってこない。
それが悲しく思えて一刻も早くこの場を立ち去りたくて。意味もなく目頭が熱くなって。