占い師の恋【完】
それを隠すように青から思いっきり顔を背けると足早に路地裏を出て、店内に戻った。
軽快な来客音が店内に響き、誰かが私に小走りで駆け寄って来たのが分かる。
「茉希ちゃん、大丈夫?」
「…杉山さん。」
「青に何かされた?あいつは?」
「あ、青ならお店の横の路地裏に…、」
心配そうに私の顔を覗き込むのは先程まで話してしいた男の兄で。
大きな手のひらがそっと頭に乗せられるとそれは優しく頭を撫でた。
変に優しい手にまた目頭が熱くなってきた。
「すみ、ません。私、帰り…ます。」
途切れ途切れその言葉を紡いだ私に杉山さんはそれ以上何か問いかけてくることはなく。
「店長には俺から言っておくね」とだけ優しく言ってくれて、再び頭を撫でてくれた。
その優しさに甘えさせてもらい私はお店を出た。
とぼとぼとおぼつかない足取りで歩く私はまともに酔うことも食べることも出来ず、こんな事なら行かなければ良かったと思うばかりだ。
途中コンビニに立ち寄りコンビニ弁当とカロリーメイトをカゴに入れると店内を物色。