占い師の恋【完】
「……すみません。本日はもう終了で、」
「逃げるの?」
「…、は?」
「あ、違うね。逃げるんじゃなくで怖い゙んだ?」
…ほら、まただ。
男は、俯き気味に睨み上げる私がお気に召したのか。にんまりと口元に弧を描いた。
――…痛い痛い…、胸が、イタイ。
痛いのは…私の、内側をよまれたから。それが酷く腹立たしいのだ。
「ねぇ、」
男は、私の顔を覗き込むようにして目線を合わせると。
「占い師さん。俺の人生ってやつ、占ってみてよ。」
それは、あまりに艶やかにしなやかに。
私を出口のない迷路へと誘い込むに充分の言葉だったのだ。
初めて、色んな意味で人に怖いと感じた。この男は危険だと私の第六感が叫び知らせているのに、目を逸らすことが出来ない。