占い師の恋【完】
「人、生…?」
「そ。占い師のお姉さん、それが俺との勝負。」
何故か聞き返してしまった簡単なワード。
理由は簡単で、この男から゙人生゙なんて台詞が口から出てくるなんて思わなかったから。
「勝負って…あんた、占い師でもないのに?」
――私が占いを勝負だと考えるのは、私を信じ訪れてきてくれるお客様の心と未来をどれだけよめるか、見えるか、楽しみたいから。
人にとって、自分の心をよまれ当てられるということは、嬉しい事じゃない。
私も……同じように。
「その答えは、占い師さんが一番良く分かってるんじゃない?」
妖艶な微笑みを口元に作り、小首を傾げる男に私は正直―――――――――…
゙勝てない゙と思った。
理由は簡単。
この男は、自分の心をよまれることを望んで、しかもその状況を楽しんでる。