占い師の恋【完】
「俺珈琲ブラック。」
さっそく一生の不覚がまた…。
キッチンに立ち珈琲を淹れる私の後ろから覆い被さるようにして腰に腕を回して来ているこの男。
何でこの男が私の部屋に一緒にいるのか。
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―――――――
少し時間を頭の中で巻き戻して。
今は――…、
「まーきー。」
「(自分でやっちゃったとは言え、み、道の真ん中で…っ、)」
「茉希ってばー。」
「……有り得ない。」
はあ、と。
大きな溜め息を吐いて顔を両手で隠してしゃがみ込んだ私の耳に聞こえるのは、クスクスという甘い笑い声。
青はなんともないと言うように堂々としているけど、私は恥ずかしくて。
自分が仕出かしてしまった事に只今猛烈に反省中である。
「だいじょーぶ?」
「…、」
顔から手を離して隙間から青を睨みつけるが嫌らしいというか上機嫌というか…。
間延びしたこの声が答えなのだろうけど。