占い師の恋【完】
「寂しいの?」
「馬鹿!さっさと帰れ!」
睨みながら言えば青は笑いながらソファから立ち上がる。
今まであんまり気にしてなかったけど(興味なかったし)青はいい匂いがする。
「またね。」
玄関まで見送りに来れば、靴を履いてドアノブに手をかけ振り返り。
いつものように綺麗に笑いながらドアの向こうの闇へと滑るような動きで姿を消した。
――――――――――
青が居なくなった部屋はいつも通りの一人、私の部屋だ。
当たり前だけど。
さっきまで隣に温もりがあったから静かで簡素な部屋が広く感じてしまう。
ふう、と息を吐き。ソファへと深く身を投じた。
ふわり。
香ったフルーツ系は少しの休戦の残り香。
甘く、切ない。
その香りから離れるように。
疲れを取ろうと、シャワーへと向かったのだった。