占い師の恋【完】
まったく悪びれた様子はなく、ただ男はへらりと笑うだけ。なんて胡散臭い、苛立たしい笑みなんだろうか!
けど、そう思う半面。
――そのポーカーフェイスを崩したいとも思った。
(まあ、それも半分はさっきの仕返しだけど…。)
男を見上げた(睨みに近い)視線が、私を見つめていたらしい男の視線と交差する。
それにちょっと驚いた私は、思わず顔を背ける。
「占い師さん、帽子被らない方が良いよ。」
「はあ…?」
「美人なのに隠しちゃ勿体ない。」
「喧嘩うってますか?」
言葉とは対照的に、突然すぎる男の言葉のせいで自分の顔が熱を帯びていくのが分かった。
なんて、口説き文句。