占い師の恋【完】
皐月と呼ばれた男は私の存在にやっと気づいたようで、チラリと目を向けると
「こんにちは。いらっしゃいませ。」
「…こんにちは。」
優しくにっこりと微笑んでくれた。
ぺこりと軽く会釈をして返すとあちら側も会釈をしてすぐにその視線は、私の横にいる人物へと移る。
「風見さん。俺この前あんたが休み欲しいから代われとか言われて代役しましたよね。」
「ん?ああー…。そうだったっけ。」
「とぼけないでくださいよ。俺明日休み欲しいんですけど。代わってください。」
「どいつもこいつも。俺を敬え!」
皐月さんは冷静に言葉を紡いで、最終的には風見さんにYESと言わせる凄腕だった。
尊敬に近い目で見れば。キラキラされてるって波瑠さんと一緒に笑っていた。
それに比べて風見さんは、少々不機嫌に舌打ちしていた。
てかアンタ。仕事に対して中途半端だなおい。
人に説教してんなと腹が立ったのでまた膝を蹴っておいた。
今度こそ怒鳴られ足をかけられ、私を転かしたのは完璧なる暴力店員だ。