占い師の恋【完】


そのやりとりを見て、また波瑠さんと皐月さんに笑われてしまった。

勿論。皐月さんは風見さんから勝利を掴んだ。


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「茉希。こっち来い。」


しばらく待てと言われて波瑠さんが出してくれた紅茶を飲みながら、雑誌を読んでいると。

ぶっきらぼうな声がかけられこちらに歩み寄る男を見る。


手招きをする男に近寄れば椅子へと案内された。



「てか…。何するんですか。」

「髪切ってみていいか。」

「(私の質問無視かよ…。)」



勝手に私の髪の毛を触りだした風見さんを目の前の大きな鏡越しに睨む。


特に髪にこだわりがあるわけでもないので黙っていれば、それを肯定と受け取ったらしい。



「前から思ってたんだよな。茉希にロングは似合わねーって。」

「失礼だな。」

「まあ、俺様がいい感じにしてやるよ。」

「……うざ。」



口を尖らせてもうほっとこうと。雑誌に目を下ろした。

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