占い師の恋【完】
シャキン、シャキン…
と。小気味よい音と共に床に髪が落ちていく。
髪切るなんていつ振りだろうと考えれば、主に梳かすだけにして来たから5年は長さを変えていない。
どんどん頭が軽くなっていく気がして、いざ切ってみれば名残惜しい。
「…っし。出来たぞ。」
頭上から聞こえた声で雑誌から顔を上げ鏡と睨めっこ。
「おお。さすが渚さん!君、似合うよ~。」
ひょこっと鏡に映った波瑠さんは、鏡越しに私をガン見してくる。
私は、と言うと。
あまりの自分の豹変振りに目を見開いて吃驚。
私のロングヘアだった黒髪はバッサリと切られて、前下がりのショートボブになっていた。
ついでにコテで巻かれた髪は緩く解され、ワックスでセットされている。
「い、や…。えと、まあなんか、凄い…ですね。」
そう言って髪の毛を指で遊んでみれば、自然に笑顔が浮かんできた。
「まあ……、ありがとうございます。」
「フッ。いいんじゃね?似合ってるし。」
頭をクシャリと撫でられ、少し恥ずかしくなったが。スッキリした自分の姿にまた笑った。