占い師の恋【完】
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もうそれからは。
気づいてしまった事実に、刻々と進む時計の針に。
変な期待をするばかり。
どうか、父じゃありませんように。なんて…。
答えは見えてるはずなのに、その事実から目を遠ざけようとしてるんだから笑ってしまう。
迫り来るその時が、来なければいい。
時間なんか止まってしまえばいい。
そんな願いは虚しくも、儚く消えていく。
最後のお相手から一つ前のお相手が部屋を出て行く。その後ろ姿にいかないで、ここにいてって思いを込めて視線を送るが。
勿論、通じるはずもない。
コンコン――…
ドアがノックされる音で私の背筋がぴんっ、と延びる。
ガチャリと静かな空間に響く音に開かれるドアがやけにスローモーションに見えてしまい舌打ち。
「……こんばんは。」
「………。」
父の記憶は曖昧になっていたと思っていた。