占い師の恋【完】
悲しそうに、言葉を紡ぐ父を一度だけ見上げた。
父はずっと私を見ていたのだ。真っ直ぐにその瞳に私を映している。
「僕は、たった一人の娘にさえもあたってしまった。言葉であの子を傷つけ続けた。
僕に怯える姿にも腹が立って、また傷つけてしまう。もうダメだと思いました。
…家族を置いて家を出ました。あんなに最低な事をした。あんなに傷つけた……、なのに。」
゙お父さん!゙
゙行かないでよっ…!゙
…この先は、覚えてる。
視界がどんどん歪む。目頭が熱くなって、鼻にツンとした痛みが押し寄せる。
「玄関に立つ僕の服の袖を掴んで、お父さん行かないでって……そう、言ってくれたんです。」
「っ…。」
熱い何かが零れそうで、必死に下唇を噛んで我慢する。今出てしまったら絶対にダメだ…。
「こんなに傷つけた僕を、まだ゙お父さん゙って呼んでくれる娘に…。
僕はなんてことをしてしまったんだろうと思いました。最後に゙ごめんな゙と一言だけ残して家を出ました。」