占い師の恋【完】
飲み始めてからほんの数十分…。すでに私の脳や体はふわふわと浮遊感に襲われていた。
顔も真っ赤にさせている私とは対照的に、棗ちゃんと風見さんは顔色を変えることなく、ハイピッチで飲んでいく。
有り得ない…。焼酎をしかもロックでどこまで飲むのか…、計り知れない二人への恐怖に身震いした。
「んで?茉希はどうしてそんなシケた面してんだ。」
「(シケた…)」
「まあまずは飲みなよまっきー。飲まなきゃ腹割って話も出来ないよ。」
十分飲んでるよ棗ちゃん。シケたは余計だよ糞ジジイ。
やっとの思いで飲み干したコップの中にまた溢れんばかりに透明のそれが注がれる。
ま、まじでー…。
正直もうご遠慮したい。お酒は弱い方でもないけど、このピッチにはついて行けない。
「まっきー、お話してくれる…?」
「……。」
「無理にとは言わねえよ。茉希が話せるようになるまで俺も棗も待つ。」
私の隣に腰掛けている棗ちゃんと、私達に向かうようにして座る風見さんの真っ直ぐな視線に一度戸惑ってしまう。