占い師の恋【完】
夜。静かで落ち着いた空気になっていたものを、私の発言+風見さんの怒声がパーにする。
「渚。怒ったら、め!」
「……チッ。」
「(風見さんが丸くなった…!)」
棗ちゃんがムッとして言うと、舌打ちを一つ零して焼酎の入ったグラスへと口をつけた。
ごめんね?と私に言う棗ちゃんに、
悪いのは風見さんだから。と言えば目の前から鬼のような形相で睨まれた。
「茉希次は無いぞ。」
何ともいえない不気味な笑顔を惜しげもなく顔に浮かばせる風見さん。
今度こそヤバそうだと察した私はそれ以上ツッコまないことにした。
「渚は放っといていいから。良かったら話して。」
やっばいよこの子。今は禁句言っちゃったような気がするのは私だけ?そんな訳ないよね。
私はチラリと棗ちゃんに向けていた視線をソイツに向ける。
ひっ…!
思わず声が上がりそうになった。風見さんの背後にはブラックオーラ。
殺人級だと思う程、彼を取り巻く空気が重々しいのと、恐ろしい。