占い師の恋【完】
私がそう言って珈琲を口に含めば、「はああ!?」なんて呆れた声を響かせる男。
「何ですか風見さん。」
「何で連絡先知らねえの。馬鹿?」
はあっと溜め息まで漏らしてみせる風見さんをキッと睨み、
「だったら何ですか。」
その私を見る哀れみたいな顔、腹立つ。崩壊させてやりたい。
チッ。舌打ちを零せば、さして気にした様子もなく逆に
「アイツ何やってんの。」
「だから知りませんって。」
風見さんはまた「馬鹿だ」と呟き紫煙を吐き出した。
この馬鹿はおそらく青にだと思う。私だったら殴ってやる!
「まっきー。じゃああっ君は、あのこと知らないの?」
「……そう、だね…。」
私が囁くように肯定を告げれば、棗ちゃんはだだをこねる子供をあやすような、優しい口調で。
「ねえ今、傍にいて欲しい人は?」
分かってて…それを聞くんだね、棗ちゃん。
明るくなっていた気分も、一時忘れかけたあの寂しい思いも。再び全部迫って押し寄せる。