占い師の恋【完】
何で食わねえの。と、呆れたような声で私に問いかける風見さん。
もう尋問みたいなんですけど。折角カレー美味しく食べてたのに、気分どん底なんですけど。きっと今の気持ちを底なし沼で比べても私には適わないと思う。
だって、底なし沼なんて言われても所詮沼だもん。その下には地がある。必ず足場があるんだ。
「…別に、特に理由は、ないんですけど…。」
「けどなんだ。」
「……、普段はあんまり、いらないって言いますか…まあ、はあ…。」
「あ?ハッキリ言えや!!!!」
「いらないんです!あんまり食べようとか思わないんです。すみません食べます。野菜サラダにおにぎり1つ追加します。すみません。」
「おにぎり1つなんて大して変わんねえだろーがああああああああ!!!!」
……まるでコントだ。
私お笑い芸人になろうなんてしてないんだけど…。何故かこうなる。
風見さんはふんっと鼻から息を出すと、コップに注がれていた水を一気に飲み干した。