占い師の恋【完】
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「何持ってるの茉希ちゃん。」
「……何日か分の食事です。」
それにふーんと、大して興味も無さそうに微笑むのは店長。
私は目の前に置かれたカップを手にとり鼻を寄せる。ふわりと香る甘い匂いに何だか胸がほっとする。
「これ、何ですか?」
「ジャスミンティー。最近ハマってるの。」
「へえー。いい香り。」
でしょでしょ、と。嬉々として話し出す店長を横目にそれを一口飲み込む。あ、美味しい。
「で。茉希ちゃんは何があったのかな?」
「……何もありませんよ。」
「なかったらココにはこないでしょ。゙誰をお探し?゙」
そう言って私と向かい合うようにソファへと腰掛けた店長の目は見れず、俯いてしまった。
薄い橙色が揺れるカップも、机へ置いてしまう。