占い師の恋【完】
「………茉希?」
確かに、口元が私の名を刻んだ。バッチリ絡まってしまっている視線。
「………青、」
「茉希ちゃーん?」
その声の主を見れば、不思議そうに私を見ている。私はもう、視線を青に戻すことなく。店長の待つ車へと足早に向かった。
車に乗り込んでから、道路の向こう側を見ると。
もう、いない…。
青は勿論。女の人も。
あれっと、視線を巡らせていた。その時。
―――バンッ!!!
すぐ左、車の窓が叩かれた。びくりと肩を上げてそちらを見れば……、時が止まった気がした。
肩を上下させながら、真っ直ぐに私を捕らえるビー玉。右耳には私の左耳にある同じ青色が光っている。
私の口は半開きのまま、目を見開く。
「あーりゃりゃ。」
隣に座る店長は笑い混じりにそう呟き、私側のドアのロックを解いた。
瞬間、ガチャリと向こう側からドアが開けられると手首を引っ張られ外に連れ出される。