占い師の恋【完】
前に倒れ込みそうになり小さな悲鳴を上げて目をキツく閉じたが、腰に回った腕がそれを阻止する。
「やあ久しぶり弟くん。」
「こんばんは、店長さん。」
驚きすぎて動けずにいたが、二人が会話を始めたことで意識が覚醒。離れようと起き上がる……が。
「反抗しないでね」とお茶目に、だが低い声で囁かれた。
言われた通りに大人しくなってしまう私の耳には、クスリという確信犯の笑い声。
「今回はおめでとう。」
「ありがとうございます。」
祝福の言葉を言ってのける店長。青もそれに笑顔で返しているのだろう。
「……さて、と。ウチの可愛い占い師をどうするつもりかな?」
店長のゆったりと、しかしハッキリと発せられた言葉。その中には棘の様なギスギスしたものも感じられて。
どうすればいいのか…。動けずにいる私の頭はパニック状態。
すると。
クツリ、と。喉を転がすような笑い声が耳の奥に響いた。