占い師の恋【完】
青は、少し腰をかがめて私と目線を合わせるとそう明確に囁いた。
うっ、と涙で発せられる嗚咽の声を堪えながらも私も青を見据える。
「お願い茉希」と困ったように微笑む青から目を離すことなく、先程まで一緒に会話を交わしていた人物へと電話をかける。
二度しか呼び出し音が鳴らない内に、携帯からは少し声色が高いそれが優しく響く。
『あれ、どうしたの?』
「店長……明日、お休みもらえませんか…?」
『……ダメ
とは、言えないかあ。』
電話越しに苦笑いをもらす店長。それに疑惑の声を返してしまった私に、店長はまた笑った。
少しかすれたように聞こえる声はゆっくりと言葉を紡ぐ。
『それは茉希ちゃんにとって大切なことなんでしょう?なら行っておいで。こっちは僕がカバーしておくから。』
「あ、りがとうござ…、」